JWSTが塵に隠れた超新星を発見。GRB 240825Aの起源が「大質量星の崩壊」と判明
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外分光器(NIRSpec)を使った観測で、ガンマ線バースト(GRB)240825Aに付随する塵に覆われた超新星(SN)が検出されました。この観測はバースト後66.5日(宇宙での時計では40.1日)に行われ、地上望遠鏡では見えなかった爆発の痕跡を明らかにしました。これにより、このGRBがコンパクト天体の合体ではなく、大きな質量を持つ星の重力崩壊(いわゆる“コラプサー”)で生じたことが確定的になりました。
研究者たちはNIRSpecの2次元スペクトルを画素単位で分解し、銀河の光と瞬間的に生じた残光(トランジェント)を同時にモデル化して分離しました。アフターグロウ(残光)の波長分布は近赤外からX線までを用いて視線方向の消光(光が塵で減光される度合い)を制約し、A_V = 1.37 ± 0.08 magという高い消光を見積もりました。分離した点状の信号は、幅の広い吸収・放出の特徴を持ち、1998年に知られた代表的な広線型(Ic-BL)超新星SN 1998bwと似たスペクトルを示しました。検出された超新星はNIRSpecの総光束の約10–15%を占めており、同じ時期の地上光学観測では全体のわずか約1%に過ぎなかったため、地上からは見落とされていました。
この結果が重要なのは、GRBの起源分類に直接的な証拠を与えた点です。GRB 240825Aは発火直後のガンマ線の性質が短時間・高エネルギー寄りで合体イベントを示唆する一方、総エネルギーや他の指標は大質量星の崩壊を示しており、起源があいまいでした。塵に埋もれた超新星の発見は、この事例で「大質量星の崩壊」が原因であることを確実にし、同様に曖昧な事例に対して赤外分光が決定的な手がかりを与えうることを示しています。
同時に母銀河の性質も詳しく調べられました。母銀河は明るく(Bバンド絶対等級 M_B ≈ −20.5 AB)、塵が多く活発に星を作っている系として特徴づけられます。星質量は log(M_★/M_☉) = 10.12 ± 0.05、星形成率は約 5.88 ± 1.60 太陽質量/年で、ガスの金属量は 12 + log(O/H) = 8.87 ± 0.04 と太陽光度を上回る値でした。これは、従来長時間GRBで典型的とされた比較的低金属度の銀河とは異なる点です。
観測にはいくつかの注意点があります。超新星の絶対的な明るさは、塵の補正や母銀河の光の引き算、そして比較に使うテンプレート(SN 1998bwなど)への依存が大きく、推定値には不確実性があります。また、2175 Å(アンストロム)に見られるような特定の吸収特徴の存在は「暫定的(tentative)」とされています。さらに、今回の検出はJWSTの高感度で近赤外をカバーできる能力に依存しており、同様の塵に覆われた事件を地上から見つけるのは難しいことを示唆しています。それでも今回の成果は、塵や明るい母銀河で隠れた超新星を見つける新しい手法の有効性を示すものです。