James Webbで観測:TOI-125系の2つのサブ・ネプチューンの大気を3–5μmで比較測定
この論文は、James Webb宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外分光器NIRSpec G395Hを使って、同じ星を公転する似た大きさの2つのサブ・ネプチューンの大気を比較した観測を報告します。研究チームは3–5μmの波長で透過スペクトル(惑星が星の前を通過する際に見える大気の吸収の様子)を高精度に取りました。目的は、同じ原始惑星系円盤でできた惑星同士を比べることで、大気の違いがどこから来るかを探ることです。
対象はTOI-125系の2つの惑星です。TOI-125 bは公転周期4.65日、半径2.7倍地球半径、質量10倍地球質量、平衡温度約1100 Kです。TOI-125 cは公転周期9.15日、半径2.85倍地球半径、質量6.8倍地球質量、平衡温度約825 Kです。観測ではTOI-125 bのトランジット(食)は完全に1回捉えられましたが、TOI-125 cは予想よりずれた時間で起きる「トランジット時間変動(TTV)」のため70%しか観測できませんでした。得られた透過スペクトルは分光能R≈100で、中央値の誤差はTOI-125 bで約50 ppm、TOI-125 cで約85 ppmでした。
大気の逆解析(retrieval)により、TOI-125 bのデータは太陽組成の約150倍の金属量(ここでの「金属」は水素やヘリウム以外の重い元素を指します)を持つ大気、あるいは上空3ミリバール(mbar)より上に雲がある場合と整合しました。TOI-125 cは約100倍の金属量か、上空10 mbarより上に雲がある場合と整合しました。mbarは大気の圧力単位で、値が小さいほど高い高度を意味します。つまり、高い位置に雲があると分光で見える特徴が弱くなる可能性があります。
なぜ重要かというと、これらの結果はサブ・ネプチューンの大気が重い元素で豊富になっているという最近の証拠を支持する可能性がある点です。さらに、惑星の温度とスペクトルの特徴の大きさに関するこれまでの単純な傾向を複雑にする結果でもあります。同じ系内の複数惑星を比較することで、形成環境を一定にした上で大気の違いを調べられるのが利点です。
重要な注意点もあります。今回の解析は「〜と整合する(compatible)」という表現に留まり、決定的な証拠を示すものではありません。TOI-125 cの観測はトランジットの一部しか取れておらず、それが結果の確度に影響します。短い波長側での追加観測が必要であり、それによりスペクトルが本当に特徴が抑えられているのか、または見逃された吸収があるのかを確かめる必要があります。